2011年4月12日火曜日

科学技術創造立国日本+経済至上主義NIPPON=日沈みゆく国(3)

科学技術創造立国日本の復興が困難な理由としてもう一つ上げたい。国民総生産の一次+二次産業比率は25.2%(2009年)に対し就業者数は47%(2010年)である。この数字の捉え方として
●一時二次産業は生産効率が悪い。
と捉えるか,
●一次二次産業は外国との価格競争で生産金額が抑えられ従業者も低賃金を強いられている。
と捉えるか。
当然,後者であろう。これには,中華人民共和国など新興国の安い製品・農産物との競争を強いられてることもあるが,私としてはもう一つ別の見方を上げたい。
昭和30年代から,技術者を教育・育成することは国策として全国に工学系大学・学部の拡充・創設及び工業高等専門学校の設置を行った。ちょうど団塊の世代が進学する時期である。この政策は功を奏し,昭和40年代,50年代のGDP二桁成長に大きく寄与したと言って間違いないだろう。また,工業高校においても優秀な生徒が集まり,北海道でも工業高校の入試成績が全道の高校入試平均点のトップクラスだったこともあった。と言っても今では信じられないだろう。しかし,時代は変わり,工学部,工業系学校は一部の学科を除き人気が低下し,学科を選ばなければ特に国立大学では入りやすい学部になっている。
現在国公立私立大学学部の学科別定員を見ると理学部,工学部,農学部を合わせた比率は22.6%である(平成20年度文科省資料)医療系が10%程で,高等教育を受けた人間の7割近くが三次産業部門向けなのである。
日本の輸出品の大部分は工業製品であり,ゲームやアニメなどのコンテンツ産業やサービスの輸出金額は,まだ大きくないであろう。日本の家計を黒字にするには,工業製品に頼らなければならないのである。
話が回りくどくなって申し訳ないが,どんどん増えていく高給取り三次産業従事者を養うため,一次二次産業従事者が骨身を追って苦労しているのが今の日本の実情である。「辛い仕事はいやだ。うまいもの食べたい。遊びたい。」と言っている三次産業道楽息子4人を一次産業の父母が汗水流して息子の稼ぎ以上の生活を与えている状態だと私は思うのである。
ほとんどの若い人は,この不公平を認識しているのだろう。「一時二次産業に入るより三次産業分野でうまく高収入を得たい。」というのが多くの若い人の本音だろう。今の政策・施策では若い人の職業に対する意識を変えることは困難だろう。でも科学技術創造立国の根本は,若い人のこの意識を変えることがまず一歩だと思うのだが。

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