2011年4月2日土曜日

高圧ナトリウムランプは本当に高効率か?道路照明のムダ

高圧ナトリウムランプという照明用ランプがある。主にトンネルや道路の照明に使われている黄色い光を出すランプである。照明効率(ルーメン/ワット)が高いということで,演色性(光源による色の見え方)が要求されない場所に普及している。道路,トンネル,駐車場,倉庫等である。また,青みの強い水銀灯と組み合わせ,体育館・多目的アリーナ等の照明としても使われている。電気設備の設計をしている人には新しもの好きの人が多く,また,新しい技術を使った機材を使うことが先進性や技術的な高さをアピールできるため,新しい施設では高圧ナトリウムランプを使う事が多いのだが,私は使ったことがない。使わない理由としては。
●演色性が悪すぎる。青系の色はほとんど黒にしか見えない。
●効率が良いと言うが,人間の目で感じられる明るさとしては,同じ光度のメタルハライドランプより暗く感じる。
●高価である。
ランプの明るさを表す単位として「ルーメン」という単位を用いるが,これは光としてのエネルギー量を表している。演色性とは無関係の単位である。人間の目は太陽の光で照らされたものを見るのに適したようにできている。太陽の光には虹などで分かるように,赤から紫までの人間の目で見える光の波長が連続的に含まれている。しかし,高圧ナトリウムランプなど放電ランプは可視光の一部の光しか発光しないのである。蛍光灯などは光を発する物質を工夫することにより,人間の見た目には太陽光とほとんど変わらない光を発するように改良されている。
つまり,人間の目で見た明るさで比べると高圧ナトリウムランプは明るいとは思えないのだが,データだけで判断するということの結果,高圧ナトリウムランプがあちこちに付けられている。
トンネルの照明の点けかたを見ていて,とても気になることがある。昼間は間引きをして点灯数を少なくし,夜間に全器具を点灯しているところがほとんどなのである。人間の見た目を考慮するなら,全く逆の点灯にしなければならない。つまり,トンネルの中と外の明るさのギャップを低減するよう点灯しなければならない。長いトンネルでは,日中は出入口付近の点灯数を多くし,中間部分は少なくて良い。
あと,道路照明の設計では路面上の照度を計算するようになっているが。これについても私は必要ないと思っている。照度が必要なのは,道路上に垂直に立っているものの面照度である。車を運転していて何でこんなにハイウェイ灯を設置しているんだ?と思うところがある。それも車道部分を中心に照らすものだから,歩道部分や脇道との照度差が大きくなり却って歩行者や進入車両の視認を悪くしている。
東京電力の電力不足に向けて削減が要求されるのだろうが,もともと都会はエネルギーの過剰消費地帯である。これを機会に見直しが進み,適正になることを期待したい。

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