2011年4月11日月曜日

科学技術創造立国日本+経済至上主義NIPPON=日沈みゆく国(2)

私の持論として,子どもたちの理系離れの原因のひとつに教師の問題があると思う。私の年代では中学,高校で理数系が得意な人は教育大学に進む人はほとんどいなかったと思う。理数がよく出来る人は医学系や理工系に進んでいた。理数がそれほど得意でなかった人が小中学で子どもに理科算数を教えているのである(例外はあると思うが)。教師になってから自己研鑽に励み素晴らしい先生になっているかたもいると思うが,大学受験制度の改革は,より理数系の不得手な教師を生み出す要因になったと思う。
私の歳が旧国立大学受験制度最後の歳だった。翌年からは共通一次試験になった。旧国立大学受験制度とは,国立一期校(旧7帝大)と二期校(旧7帝大以外)に受験日が分かれ,国立大学を希望する学生は,通常,受験する一期校と二期校を選び,二期校を滑り止めとしていた。試験問題は各大学で作成し,大学により難易度に差があった。試験科目は基本的に学部学科に関わらず5科目で科目別の傾斜配分は行わず,5科目合計点で判断されていた。難関校に入るには不得手科目があったらアウトだったので,文系学科を受験する学生でも,理数科目も必死になて勉強したのである。あれから三十数年経ち,昨年は娘が大学受験で私も今の大学受験の仕組みを調べてみたが,国公立系でも理数が出来ない文系希望学生を排除できる仕組みにはなっていなかった。高校ではセンター試験で受験しない科目の授業は放置状態で試験も一夜漬けで合格できるレベルの優しい問題で行っている。高校どころか中学生レベルの算数や理科が分からない生徒を大学に送り出しているのである。
また,工学部の低ランク大学の入試偏差値,センター得点平均値を見ると,このレベルの学生が大学課程の理工教育を履修できるのか?という懸念を抱いた。一部の大学では入学してから高校課程の再履修を行っているそうで,工学部に入学した学生なのに高校数学を再履修させている大学もある。
バブル期の理工系離れとゆとり教育,それに少子化による大学入試競争の緩和は長期的な日本人全体の学力低下を招いている。困ったことには,これからゆとり教育世代が親となり,社会の中心を担うのである。
政府が科学技術創造立国の旗を掲げ予算を撒いて一時的な効果を出しても,世代循環の鎖を断ち切ることは容易ではない。私は子どもの学力低下が言われだしたとき,それは子どもの側に問題があるのではなく大人側に原因があると考えてきた。子どもを変えるには大人が変わらなければならないのである。

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