2011年7月28日木曜日

原発止めるも愚,動かすも愚

どうも原発の今後の稼働については政府内部が分裂し,先行き不透明になってしまった。菅総理の順次原発を停止し,再生可能エネルギーで補うという考えと,社会・経済に大きな影響を与えない範囲で運転を続け,国のエネルギー基本計画は修正し,原発の発電比率を見直すという官僚・経済界の考えに二分されたかと思う。

原発を停止し,再生可能エネルギーを推進すると電気料金は今の二倍くらいになってしまうのではないかと思う。それに,電圧・周波数の不安定を招くことになる。再生可能エネルギーで儲けようとする人たちにとっては,風力・太陽光発設備でまず儲け,電気料金の値上げ対策用省エネ製品で設け,電圧・周波数安定化電源設備で設け,と今後20年くらいのビジネスプランを考えているのである。そのため,今は再生可能エネルギーを導入すれば不安な原発は廃止でき,温暖化も防止できるという夢を唱えているのだ。

一方,原発を維持する人たちは九州電力のやらせメール事件のように,やみくもに反原発の動きを封じ込めようとする。原発停止により損失を受けたくないからであり,現在の原発ビジネスを何とかして維持しようとしている。

私は原発反対論者では無い。しかし,今のままででは危険だと考えている。今回の福島原発事故で不思議なのは,事故検証が進まないことである。普通,航空機事故や鉄道事故などでは,事故対策と同時に原因究明のための検証が進められる。原因特定に至らなくても推測の段階で,運行停止や緊急点検などの対策が講じられる。この基本対策が原発には適用されていない。いや,国や電力会社は対策を講じていると言われるかもしれないが,福島の事故原発は事故の本質を隠していると思われるからだ。東電ては想定外の津波が事故原因としたほうが責任逃れできると考えている。

私の推測では,
●地震で蒸気系統,給水系統の配管が破断した。
●破断した配管より蒸気・水が漏れ,漏電により制御系の電力が供給できなくなった。
●地震と放射線に汚染されていると思われる漏水のため,作業員が避難してしまい,手動での対応が津波が来るまでに出来なくなってしまった。
●補助発電機が津波で破損し,制御室の電源も停止して原子炉の監視できなくなりお手上げ状態になってしまった。
●現場が混乱するなか,政府側の誤った指示により爆発に至った。
ということではないかと思う。最初の配管破断については,過去の東電の損傷隠しが露見した事件の時,原子力保安院となあなあで処理し,損傷隠しの体質が改められるどころか,内部告発を封じ込める方向に向かったのではないかと思うのである。

今,行なうべきことは全国の原発が地震で壊れない,安全停止できる原子炉であるかどうか検証し,不備・不足があれば補強改修方法を検討し,回収方法・費用の点で継続運用可能かどうかの判断をすることである。その際,政治家,官僚,電力会社関係者を介入させてはいけない。

今の日本には,これを行なうための政治判断,人選ができないのである。国民のことより,自己,組織の利益を優先させる人間ばかり権力を持つ立場に居座っているのが今の日本の最大の不幸だと思う。

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