2011年7月8日金曜日

自家用発電設備で脱原発の嘘

いくつかの週刊誌などで「企業の所有している自家用発電設備が原発60基分に相当する」という記事が出ている。
http://nikkan-spa.jp/18472

いま聴いていたラジオでもそのことを話題にしていたが,どうもただ単に数字を積み上げているようで,アホな政治家が利用しそうである。「自家用発電設備を所有している施設は,それを稼動させろ」と命令するのではないかと懸念する。
経産省の持っている届出している自家用発電設備の数字を持ってきたものだと思われるが,主に自家用発電設備を持っている施設は病院・ホテル・大型商業施設などで,自家用発電機の使用目的は,ほとんど非常用である。非常用発電機とは停電になったとき一部の電源を供給するために設置している発電機で,電力会社の電力との併用ができない発電設備である。電力会社の電力と自家用発電機の電力を並行して電力を供給するには系統連系装置が必要で,いま所有している非常用発電機をそのまま系統連系させることは不可能である。一部の大規模工場では熱源との併用で自家用発電設備を持っているが,それは工場の操業に使用する電力を発生させるためで,原発の穴埋めに振り返ることができない。
一時,オンサイト発電が流行り私の務めていたところにも再三売り込みに来たのだが,メリットがないということで断った。近くの商業施設で納入したそうだが二三年もしないうちに石油価格の上昇で止めてしまった。運転音での周辺住民の苦情もあったらしい。休止しているオンサイト発電設備なら動かせるだろうが,石油価格が高い今,企業は負担を受け入れるだろうか?。
週刊誌の記事は絵に「描いた餅・取らぬ狸の皮算用」で,技術的実情を調べない無責任記事である。
今後は自家用発電設備を連携運転できるものを採用する施設が増えてくるかもしれないが,小規模な発電機(1,000KVA以下)では発電コストで電力会社に敵わない。それと都会では排気音で常用運転は無理だろう。

似非専門家-「原発がなくたって大丈夫ですよ。日本には使っていない自家用発電機が原発の発電能力以上にありますから。」

バカ記者-「そうだったんですか。それなら心配ない。直ぐ記事にしましょう。」

アホ政治家-「国内の自家用発電機を運転せよーっ。」

竹槍で米兵に立ち向かえと訓練させた戦争末期に似ていなくもない。

0 件のコメント:

コメントを投稿