2011年12月20日火曜日

TPPは21世紀の黒船(3)

しかしTPPに関する新聞記事を読んでいて大きく違和感を持つのは経団連がTPP参加を強く支持していることである。経団連は日本の将来をどう考えているのだろうか。バブル崩壊以降の日本は,それまでのインフレーション経済発展では伸びなくなっているのに未だにバブル景気の再来を夢見ているのでは無いか。海外の状況を見ていても自由主義資本経済というのは行き詰まりに至っている。先進国の需要によって発展してきた新興国の景気も今後停滞するだろう。2012年には今年以上に経済問題が顕著化してくる。
私にはTPPが経済の停滞を払いのける仕組みには思えないのである。既に大企業及び関連会社は生産拠点の大部分を海外に移しており,原発問題で電力供給不安を抱く国内に生産拠点を置くことの利点はほとんど無くなっている。TPPは産業空洞化を加速させ,日本国内は多くの人達が失業と低賃金労働で苦しむだろう。大企業の経営者は労働組合に保護されたブルーカラー社員を社内から追い出してしまいたいのだろう。
日本の高度成長を支えた社会構造は,いま崩壊の過程を進んでいるが,TPPは崩壊を促進させるだけである。日本の近未来は予測不可能の状態にある。

2011年12月19日月曜日

TPPは21世紀の黒船(2)


米国の命令で国内の繊維・織物産業を潰し,鉄鋼は高炉が無くなり,半導体問題で日本のCPU・OSを潰されてきた経緯をみると,今度のTPPでは何が潰されるのだろうと考えてみる。閉鎖的で経済規模が大きい産業またはサービス業と言えば,農業?。農業関係者がTPP反対を唱えているが,米国の本当の狙いは,ゆうちょ銀行の預金ではないかと思う。
小泉総理の時に郵政民営化で分割民営化された郵政事業は現在,三社の株式会社になっており,株は政府が保有している。Wikipediaによると預金残高は175兆円を超えており預金残高-貸付残高でも170兆円を超えている。一方米国の債務は1,926兆円(76\/$)でゆうちょの預金額でも9%に満たないが世界経済危機の中,これだけの現金があるのは米国にとって非常に魅力だろう。ゆうちょ預金で米国債を買わせ債務の穴埋めをさせるつもりだろう。それでも米国の経済は良くならないだろう。世界最強の軍事力と経済支配力で自国の繁栄を構築してきたやり方は,もう通じなくなっているのだ。その点中共はしたたかと言うか,良く先進国の状況を研究しているのだろう。TPPの一面は米国が日本を中共から引き剥がすという目的もあると思う。中共もTPPに対抗する策を出してくるのか,参加して米国の都合の良いようにさせじと引っ掻き回すか。日本は太平洋と東シナ海の波間で揺れる小舟である。

2011年12月18日日曜日

野田総理の冷温停止宣言

まあ,よくもこう言えるものかと呆れてしまう。支持率アップと年内に良いニュースの一つでも発表したいという意図なのだろうが,マスコミもやんわりと疑問を提示する程度で「バカ言うんじゃねえ!」という反論は出してこない。政府,マスコミのニュースを真に受ければ「これにて一件落着」の印象をうけてしまう。しかし現段階では「マラソンの最初の100mをコケずに走りました」という状況だろう。ゴールはメルトダウンした燃料及び放射性物質が適切処理が終了し,原発周辺及び汚染地域が放射線管理区域から外れる時である。
いま,少しずつ事故当時の状況が記事になってきているが,当初の政府及び東京電力の対応の失敗及び現実隠蔽を糾弾する声はマスコミからは上がってこない。日本の政府・マスコミは諸外国の信頼を失わざるを得ない。このままだとIAEAから日本の原子力運用に信頼性が無いとして燃料の供給を絶たれるのではないかと懸念してしまう。今からでも遅くないから利害関係のない内外の専門家に事故の検証を行い世界に向け公表すべきである。政府・官僚・電力会社の密室談合で原子力の対応をやめさせなければならないがマスコミまで仲間に入ってしまって国民の声は反映されていない。外国から見れば日本は,裸の王様と王様は立派な服を着ているという臣民しか存在しない国に見えるだろう。

2011年12月11日日曜日

東京に行ってきたが

一年ぶりに東京へ行ってきた。千歳空港を発ち,左側の座席から外を眺めていると以前より内陸側の方を飛んでいるようだ。以前だと千歳から羽田に向かうとき太平洋側の座席からはほとんど陸地が見えず,太平洋ばかり眺めていたと思うのだが。福島上空から福島第1原発が遠くに見えた。原発の影響を避けるため内陸側に航路をとっているのではないかと思ったが実際どうなのだろう。
何年か前から東京に行く時願うのは行っている間に地震が起きないでほしいということだけである。

2011年12月1日木曜日

TPPは21世紀の黒船(1)


連日TPPの話題が新聞・テレビ等で取り上げられているが,民主党野田政権は,もう腹の中では加盟することに決めているのだろう。民主党野田政権の不明はTPPに加盟した場合の国内施策を具体的に提示しない(出来ない)ことである。TPPに加盟すると全産業で影響を受けるだろう。合理的も経済的理由なく米国の都合に合わせるよう強制されることになる。
ペリー,ハリス来航-鎖国撤廃
ポーツマス条約-日本の大陸進出牽制
日中戦争-中華民国への支援,第二次世界大戦への参戦で対日戦争へ参入
日本の無条件降伏,占領-日本の国内改革,軍事力の解体
ロサンゼルス条約,日米安全保障条約-米国属国としての枠組みの確立
経済摩擦-繊維,鉄鋼,半導体など産業の発展輸出を制限。
こんな具合に日本は米国の強制干渉・攻撃を克服してきたのだから,楽観的に考えれば今回,TPPに参加しても何とか成るのでは,と思ってしまう。
ただ,不安に感じるのは,今の政府・官僚がこの逆境に対応できる施策を行う能力が無いのではと思うのである。国民もそれを感じ取って,政府が大丈夫だと言っても不安を拭い切れないのである。
私が思うには,特にバブル以降,日本の様々な分野で指導的立場に立つ人のモラルの低下が甚だしくなったと感じる。福島原発事故の最大の責任者は原子力監督官庁の官僚たちである。今の官僚で自分達が日本国の芯を支える武士だという自負を持っている人はほとんどいないのでは無いかと感じるのである。官僚たちの中にも立派な人はいるのだろうけどそういう人は表には出て来ないのだろう。言わんや政治家も企業経営者も欲望にまみれた人のみのし上がり,精錬の居士は冷や飯を喰わされる社会になってしまった。
原子力保安院,東京電力,オリンパス工業,大王製紙・・。社会責任という観念が欠如しているとしか思えない。
江戸社会だったら,政治家・官僚は切腹,経営責任者は全財産没収のうえ島流しである。そのぐらいしないと自己の社会責任という観念が身に入らないのではないかと思う。
そんな緩い無責任国家だから米国に首根っこを掴まれたままなのだ。
ブータンのほうが国として日本よりずっと上等な国だと思わざるを得ない。